【135件を対象】深度調整型静脈麻酔を用いた際の安全性や満足度に関する研究が国際学術誌「Aesthetic Plastic Surgery」に掲載

前向き研究によって患者満足度・術中記憶・回復時間などの患者体験指標を体系的に評価

松村 圭祐医師らは、外来美容外科における深度調整型静脈麻酔(UMEDAプロトコール)を用いた連続135例の前向き研究を実施し、「Safety of Depth-Adjusted Intravenous Anesthesia in Office-Based Aesthetic Surgery: A One-Month Prospective Study of 135 Consecutive Cases」(美容外科における静脈麻酔の安全性と有効性:プロトコールによる前向き検証)を発表しました。
重大な呼吸・循環イベントが認められなかったことに加え、患者満足度、術中記憶、回復時間といった患者体験指標を体系的に評価した本研究の成果は、2026年5月、美容外科学術誌「Aesthetic Plastic Surgery」に掲載されました。

論文「Safety of Depth-Adjusted Intravenous Anesthesia in Office-Based Aesthetic Surgery: A One-Month Prospective Study of 135 Consecutive Cases」

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文献情報

論文タイトル Safety of Depth-Adjusted Intravenous Anesthesia in Office-Based Aesthetic Surgery: A One-Month Prospective Study of 135 Consecutive Cases
掲載誌 Aesthetic Plastic Surgery
掲載日 2026年5月27日
著者 Keisuke Matsumura, Takahiko Tamura, Kohki Okumura, Reiko Kiuchi & Hiroo Teranishi
URL https://link.springer.com/article/10.1007/s00266-026-05922-z

論文趣旨

背景

クリニックでの美容外科手術においては、術中の快適さと迅速な回復を両立させるため、静脈麻酔が頻繁に用いられています。大規模な過去のデータからは合併症の発生率が低いことが示唆されていますが、標準化された深度調整プロトコールの下での患者報告アウトカムに関する前向きなデータは限られていました。そこで本研究では、専門医が主導する「UMEDAプロトコール」を用いた際の安全性、患者の満足度、術中の記憶、および回復について前向きに評価を行いました。

方法

2025年5月1日から31日までの間に、クリニックで美容外科手術を受けたすべての連続した成人患者135名を対象に、単施設の前向き観察研究を実施しました。「UMEDA(Ultra-safe Method for Elective Depth-adjusted Anesthesia)プロトコール」に従い、5分間隔で血圧、心拍数、パルスオキシメーターのモニタリングを行いました。麻酔薬は主にプロポフォール(133/135例)を使用し、プロポフォールの成分にアレルギー歴がある患者(2/135例)にのみミダゾラムを使用しました。主要評価項目は患者の満足度(5段階リッカート尺度)でした。副次評価項目として、術中の記憶、回復時間、主要な心肺イベントを評価しました。2つの事前に規定された多変量ロジスティック回帰を用いて、(1)高い満足度(スコア = 5)および(2)持続的な記憶 の予測因子を検討しました。

結果

研究期間中、主要な心肺イベント(重大な呼吸・循環イベント)は1件も発生しませんでした。満足度の中央値は5 [IQR 4–5]であり、68.1%の患者が5と評価しました。術中の記憶は、38.5%が「なし」、47.4%が「導入/覚醒時のみ」、14.1%が「持続的」でした。回復時間の中央値は22分 [13.0–36.0]でした。満足度モデルにおいて、女性であることは独立して高い満足度を予測しました(aOR 3.31; 95% CI 1.04–10.50; p=0.042)。年齢、手術時間、回復時間、体重調整プロポフォール投与量、複数部位の手術、および持続点滴は有意な因子ではありませんでした(all VIF<5)。記憶モデルにおいて、より高い体重調整プロポフォール投与量は、独立して持続的な記憶のオッズを低下させました(aOR 0.07; 95% CI 0.01–0.67; p=0.021)。性別は有意ではありませんでした(all VIF<2)。

満足度スコアの分布を示す棒グラフ
満足度に影響する因子のフォレストプロット

結論

UMEDAプロトコールで管理された135件の連続したクリニックでの美容外科症例において、深度調整静脈麻酔は安全に実施され、高い患者満足度、持続的な術中記憶の低発生率、そして迅速な回復をもたらしました。これらの結果は、日帰り美容外科診療において専門医主導の深度調整静脈麻酔を安全かつ効果的に導入できることを裏付けるものであり、今後の多施設での検証の意義を示すものです。

研究のポイントと今後の展望

自由診療領域の美容外科手術では、患者の快適性と迅速な回復を両立する目的で静脈麻酔が広く用いられています。一方で、外来環境における麻酔の安全性や標準化については、社会的関心が高まっています。
TCBではこれまで、外来美容外科における静脈麻酔の安全性を大規模連続症例で検証する後方視的研究(4,397例)を報告してきました。(※1)
今回の前向き研究は、その「安全性の土台」に加え、患者満足度・術中記憶・回復時間といった“有効性(患者体験)”を、標準化プロトコール下で前向きに評価した点に意義があります。重大イベントが認められなかったという安全性に加え、満足度の高さ、持続的な術中記憶の低さ、回復時間の短さが示されました。これにより、外来美容外科における静脈麻酔を「安全に」提供するだけでなく、「患者体験の質(快適性・記憶の抑制・回復性)」まで含めて整備できる可能性が、前向きデータとして示されました。
本研究は単施設・短期間の前向き研究であり、今後は多施設での検証と、運用の標準化を通じて、外来美容外科領域における静脈麻酔の安全基準・教育体制の整備に貢献することを目指します。

参考文献(※1):松村 圭祐ほか.美容外科手術における4,397例の静脈麻酔の安全性:単施設後方視的研究.Aesthetic Plastic Surgery.2025,Volume 49,p.6967–6973.

執筆医師

松村 圭祐医師の写真

松村 圭祐(Keisuke Matsumura)

TCB梅田大阪駅前院

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