受付時間外のため、現在電話での予約はできません。
- 電話予約受付時間
- 9:00~23:00
- 診療時間
- 10:00~19:00(不定休)
- ※一部クリニックは異なります。
お手数おかけしますが、LINEもしくはWEBからのご予約をお願いいたします。
松村 圭祐医師らは、美容外科手術における4,397件の静脈麻酔症例の安全性について研究し、論文「Safety Profile of 4,397 Consecutive Intravenous Sedations in Office-Based Esthetic Surgery: A Single-Center Retrospective Audit」(美容外科手術における4,397例の静脈麻酔の安全性:単施設後方視的研究)を発表しました。本研究は、美容外科手術における静脈麻酔の利用実態と安全性を、大規模連続症例で検証したものとなります。
同論文は2025年11月、国際美容外科学術誌「Aesthetic Plastic Surgery」に掲載されました。
| 論文タイトル | Safety Profile of 4,397 Consecutive Intravenous Sedations in Office-Based Esthetic Surgery: A Single-Center Retrospective Audit |
|---|---|
| 掲載誌 | Aesthetic Plastic Surgery |
| 掲載日 | 2025年11月25日 |
| 著者 | Keisuke Matsumura, Takahiko Tamura, Kohki Okumura & Hiroo Teranishi |
| URL | https://link.springer.com/article/10.1007/s00266-025-05478-4 |
静脈麻酔(intravenous sedation, IVS)は、美容外科をはじめとする日帰り手術で広く用いられている一方、美容外科から発信される大規模な安全性データは限られていました。本研究では、美容外科におけるIVSの運用状況と、周術期安全性を体系的に評価することを目的としました。
2020年11月から2024年12月までの期間に、単一クリニックで静脈麻酔下に実施された全ての連続症例を後方視的に解析しました。対象はASA-PS分類I~IIの外来患者とし、第一選択薬としてプロポフォールを用い、卵・大豆アレルギーがある患者にはミダゾラムを代替薬として使用しました。心電図・非侵襲的血圧・SpO₂(アラーム閾値90%)を標準モニタリングとし、Modified Observer’s Assessment of Alertness/Sedation(MOAA/S)スコア2~3を目標とした深度調整プロトコールを採用しました。主要評価項目は気道確保や心停止などの重篤な心肺合併症であり、副次評価項目として術中降圧薬投与、脱抑制に伴う鎮静中止、30分を超える覚醒遅延、予定外入院の有無を評価しました。
解析対象となった静脈麻酔症例は合計4,397件で、患者の中央値年齢は39歳、女性が89.7%を占めました。年間症例数は2020年の41件から2024年には1,753件へ増加し、複合手術の割合も同期間に6.5%から86.5%へ上昇していました。鎮静薬は4,366件(99.3%)でプロポフォールが使用され、31件(0.7%)でミダゾラムが使用されました。重篤な心肺合併症(気管挿管や心停止)は1例も認められず、その上限95%信頼区間は0.08%でした。術中の高血圧に対してニカルジピン静注を要した症例は44件(1.0%)、脱抑制による鎮静の任意中止は24件(0.55%)、30分を超える覚醒遅延は75件(1.7%)でしたが、全例が当日中に処置終了し、予定外入院となった症例はありませんでした。また、酸素投与を必要とした症例も認められませんでした。
本研究では、美容外科医が統一プロトコールのもとで管理した4,397件の美容外科手術において、重篤な心肺合併症は0件であり、軽微なイベントの頻度も低いことが示されました。論文では、ASA I~II症例への厳格な適応選択、連続的な生体モニタリング、体重に応じた鎮静深度調整を組み合わせることで、美容外科においても国際レベルの安全性を達成し得ると結論づけています。今後は、多施設前向き研究による検証および回復指標の標準化が求められるとされています。
